2013年9月20日金曜日

沙里、悟の過去を知り始める時





 程なくして、悟は当然のことながらiPhoneのカメラ機能に興味を持った。レイカはいつも、悟が寝た後に自宅にやってくる。いつの間にか現れては、いつの間にかそばに居て、いつの間にか、大切な存在になった。そんな、いつ現れるとも知れないレイカとの距離を縮めておけるものが、iPhoneで、twitterで、ソーシャルネットワークだった。

 レイカに見せたいものを、僕が撮る。

 悟がそういう心境になるまでに時間はかからなかった。

2013年9月16日月曜日

その手に、持つべきもの……




 悟と彼女、レイカの出会いはありきたりであり、ありきたりではなかった。

 悟は偶然、彼女がアリス・ガーデンの野外特設ステージでギターを手に歌う姿を目にした。

2013年9月5日木曜日

悟と沙里。入りくんだ場所




 翌日、沙里は悟と二人で広島市内、紙屋町から八丁堀まで本通りを歩いていた。

 沙里は少しでも悟との距離を縮めたかった。焦りというか、公私混同しつつも悟を昼間の街へ誘いだした。普段どんな感じで撮影をしているのか、もっと企画のために知りたいと申し出たのだ。それもおかしな話ではある。渡(わたり)が持ちかけた企画通り、ウェディング用の撮影をすればいいだけの話だし、悟の創作活動の一端を、いつどんな時にシャッターを切りたくなるのかなんてことは、全く仕事とは関係がないからだ。

 悟は何も考えていないのか? すんなりとOKして街へと繰り出してきた。